「彼女は自分が穢(げか)れた存在だと思い込み、お風呂で血がにじむほど体を洗っていました。」胸がつぶれそうな光景である。しかし、見方を変えれば、被害者は本当に「自分自身が穢れている、価値のないもの」と思っていたのでしょうか。「大切な自分にふさわしくない穢れがついているから洗って落とそう」としていたのではないでしょうか。
私もレイプ被害者が他の精神科医に「関係ない」「忘れろ」と言われて錯乱状態になったPTSD患者を診たことがありますが、何も言わずに主治医になるだけで被害者は落ち着いたのです。それは私が「レイプトラウマPTSD診断」を「確信した(ラポール形成)」だけだからです。2ヶ月で一回位は「レイプの件」と言ったかな。
PTSDを迷いなく否認しない精神科医が主治医になっただけで「安全確保」され、患者は「大切な自分についた傷」を自己修復する態勢に入る。そこで「パキシル(この症例の場合はリスパダールを処方:大概の薬はラポール形成前に患者は飲んでいる:あえて以前無効・有害だった薬を選択することもある)」すると「治癒が加速」するのです。
逆に患者自身が「自らの傷を完全に受け入れたとき」にどうなるか。リフトンはアウシュビッツでこのような人間の状態が「マホメット教徒」と呼ばれていたことを伝えています。
実際にアウシュビッツを生き延びた人間の証言にもこの状態は伝えられています。 それは生きる努力をあきらめ、祈るように膝をついて動かなくなるのです。ナチスの看守はこういう犠牲者の頭を拳銃でぶち抜きます。
刑務所の独居房で靴下で首吊りするようなPTSD患者も似た姿勢ではないでしょうか。
生に執着して苦しみあがくPTSD患者だからこそ、精神科医がしてあげれる仕事があるのです。
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小学~中学レイプされても、まだ生きていたいと思うからパキシルは効く
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